さだまさし:片おしどり

さだまさし

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片おしどり。この曲は歌詞を味わいながら最後まで聴くと、曲名の意味が深く心に響きます。
彼はこの曲を一体何歳のとき描いたのでしょうか。

この曲は避暑地の湖を訪れた家族の物語です。主人公は若くして夫に先立たれ、もう自分で歩くことも困難になってきた老婦人。彼女は水辺で遊ぶ孫たちを目で追いながら、自分の人生を振り返ります。

彼女は女手ひとつで必死で子供たちを育て上げ、気づけばすっかり年老いていました。そんな彼女を周囲の人々は皆、彼女の人生を「子供たちのために生きてきた」と語りその苦労を讃えます。

しかしそんなとき彼女は、「それは違うわ。。。ただあなたに褒めてもらいたくて夢中で生きただけ。。。」と、彼女は亡き夫を思い浮かべ、過ぎた日々を心の中で振り返ります。

私にも、戦争から夫が無事帰ってきたものの、まだ若くして脳卒中で突然夫に先立たれた祖母がいました。ある時、祖母が私にその時のことを語りました。祖母は何日も泣き続けて、娘から泣き女みたいだったと言われたそうです。
人には皆、大切な物語があります。この歌はそんな身近な家族の物語と重なります。

歌詞の中の彼女は、時折目を閉ざし亡き夫に問いかけます。「あなただけあの日のまま若いなんて、ずるいわ。。。私ばかり、こんなお婆ちゃんになってしまった。。だからもう、恥ずかしくて、褒めてもらいたくても、あなたに会えないじゃないの。。。」
私が祖母の物語を聞いたとき、彼女の遠くを見る目から、このフレーズを思い出しました。

この歌の物語は最後に、夕暮れの湖の水面をただ一羽進む「おしどり」の情景を映して終わります。
家族の日々の生活は奇麗なことばかりではありません。でも時が過ぎて振り返ると、美しい思い出ばかりが思い出されます。
この歌の物語はラストの「ただ一羽で水面を進むおしどり」に象徴され、聴き終わったとき、じんわりと、真実だなあと思わされます。

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